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「遅くなってしまったな・・」
昼時を少し過ぎたころ、運営がらみの雑用から、ハイネルは風見ハヤトと歩いていた。
他にも数人のドライバーが呼ばれていたのだが、ピットごとに次々と消え、結局一番奥の二人が残ることになっただけのことだか、珍しい取り合わせではあった。

シュトロゼックのホスピタリティテント前にたどり着いた時、ハイネルが声をかけた。
「私は今から食事なんだが、風見も一緒にどうだ?」
「僕はいいですよ、スゴウで食べます。」
「加賀はしょっちゅうたかりに来ているから遠慮しなくていい。この時間ならどうせ一人だしな。
もっとも終わりがけだからあまり種類はなさそうだが・・。」
ハイネルは目を凝らし、奥にある本日の手書きメニューを見る。
「えーと・・肉じゃがとオムレツのプレート、と、白身魚のトマトパスタ・・だそうだ。」
「肉じゃが!?肉じゃがお願いします!」

ハイネルも同じものを受け取り、テントのテーブルに席をとる。
皿とフォークで多少食べにくそうなものの、ハヤトは少年らしい旺盛な食欲で瞬く間に皿をたいらげた。
にこにこと食後のオレンジジュースを飲むハヤトに、ハイネルは優しく微笑んだ。
「日本料理のオリジナルに近い仕上がりだったか?」
「おいしかったです!肉じゃがが食べられるなんて思わなかったから、びっくりしました。」
「それはよかった。できるだけ家庭料理や地方料理を出すようにしてもらっているんだ。」
「加賀さんも、シュトロゼックの飯が一番うまいって言ってました。ちなみにワーストはスゴウだそうです・・。」
「・・スゴウは一体、普段何食べているんだ・・それは日本流の修行なのか?」
「いやまぁ、・・ケータリングは普通なんですけど、アスカのアレンジが・・。
日本では日の丸って言ってお弁当のご飯の真ん中によく梅干し入れるんですけど、こないだは赤いから同じでしょって、コチュジャンが入ってました。おにぎりにイチゴキャラメルが入っていたときもあったかな・・・」
「好みだが、胃には悪そうな取り合わせだな・・。」
「修さんはおいしいって食べてましたけど・・」
スゴウに勝つにはそこまでストイックにならなくてはいけないのかと、ハイネルは首を軽く横に降った。
「ところで、ひのまるとは、太陽のことなのか?」
「そうですよ。」
「日本では、太陽は赤で表すんだな。ヨーロッパでは黄色が多い。」
「黄色は日本では月の色ですよ。」
「月は・・白か銀かな。」

そういえば、太陽とはどんな色だったろうとハイネルがテントの下から空に眼をやった時、淡い黄色の髪がぬっと視界を占拠した。
「やっほ、風見。ハーイネル、食事中悪いんだけどスタッフが探してた。リサちゃんでもわからなくて困ってるみたいだぜ。」
「そうか、今行く。お前は食事はすんだのか?」
「とっくに食べてるよ。ごめんな風見。」
「いえ、ご馳走様でした!」
「すまないな。」

皿を片づけ、二人並んでテントを出ると、ピットに向かって歩きだす。
直射日光がハイネルの顔を刺し、その眩しさに思わず空を睨みつけた。
「どしたの?」
「・・太陽は、空から何を見ているんだろうと思ってな。」
「んー?」
グーデリアンが同じ方向を見上げる。金髪が光に透けて、太陽と同じ色になる。

地表から見る青い空と黄色い太陽はあまりにも遠くて眩しくて。
自分を地面に縛り付ける強い重力を降りきるためには、人知を超えた大きな力が必要だった。

「そうだなー、地球っていいなって思ってそうだな。森とか土があって、生き物がいてさ。
でも、近付くには空気が邪魔してて、仲良くなれなくて困ってるみたいな?。」
たったの1 Lで1 g。それが縦に数十km。
精一杯の隕石や紫外線でアプローチしても、燃え尽きたりしてなかなか地表には届かない。

「なんつか、片思いなんだろね。」
もうちょっとで手が届くのにと思いながら、緑の森を眺めてるんじゃないかなと思う。
と、グーデリアンはハイネルが自分の顔を覗き込んでいるのに気がついた。
「まさか・・またどこかで人妻とスキャンダルでも起こしてきたんじゃないだろうな。」
至近距離からいぶかしげな緑色の瞳に覗きこまれ、グーデリアンは思わず一歩後ずさった。
「ちょっと!ひっどーいそれ!全然信用されてない俺?!」
「どこをどう信用すればいいのか私にはわからん。」
「ちょっとぉ!」
「まぁ・・リサが困っているだろうからさっさと行くぞ。」
「あ、こら、置いてくなってば!」
二つの影は近くなったり遠くなったりしながら、それでも絶妙な距離を保って歩き始めた。

傍から見ればもどかしくて仕方無くて、果てしない距離。でも、そんなものはなんとでもなるのだ。
距離が長ければロケットを飛ばせばいいし、紫外線が届かなければオゾンホールを開けてしまえばいい。
不可能なんてないんだ。むしろ、難題は多いほうが盛り上がらないか。

人の迷惑?知らないね!。

----------------------------
普通、太陽に対してなら月でいけってね。

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