「なー、そろそろ出会って10年近くなんだし、なんか、指輪とか作らない?」
「今さら・・お前はともかく、私が本社で付けていたら大騒ぎになるだろう。」
「いいじゃん、どうせあちこちばれてんだし。」
「だからと言って、知らない人間にまで言って回ることはない。」
どうせいつもの戯言と端末画面から眼も上げずさらりとかわす横で、ぶーたれた金髪頭がへなへなとソファに沈んでいく。
昼下がりのラボ。それはあまりにもいつも通りの風景だった。
「そういうこと言ってると、タトゥーとか入れちゃうよ?」
「文化圏によっては敬遠されるから、あまりおすすめはしない。」
「そんな冷静に返されてもなぁ・・・。」
それでもあきらめきれずに手元のタブレットをくるくると繰りながらグーデリアンは何かを探している。
「こんなんとかさ。」
差し出された画面は小さな金銀のチョーカー。厚みのあるデザインがグーデリアンの胸に輝いている様を想像しつつ、ハイネルは首を振った。
「・・私は金属アレルギーだと言っているだろうが。」
「だよねー・・。」
「グーデリアン、これをやろう。」
そんな戯れのことも忘れた一月くらい先。
ラボを訪れたグーデリアンに出されたのは赤いベルベットの小箱。
中には恭しく、2cmたらずの金色の模型が入っていた。
「これ、優勝記念のシュティール165のノベルティ模型じゃん。俺金銀両方持ってるよ・・って、あれ、重いね?」
「原子番号79。ちなみに、赤はガーネットだ。」
「あ、チャームになってる。」
「ストラップでもなんでも好きにするがいい。」
「うっわ、俺、革ヒモつけてロザリオにしよう。・・ん?」
裏を返したグーデリアンが首をかしげた。
「なぁ、これ間違ってるよ?」
「なんだ?」
「あのノベルティ、確か後にドライバーイニシャル入ってたよね。これ、金色なのにFHって入ってるよ?」
「あぁ。それでいいんだ。全く同じではつまらない。」
そう言ってハイネルが出したのは、青いベルベットの小箱。中には銀色のシュティールが入っていた。
「あ。」
「こちらはプラチナとトパーズだ。これなら私が持っていてもあまり不自然ではないからな。」
裏返したところには案の定JGのイニシャル。
-了解。後ろのイニシャルは二人のナイショってことなのね。
「サンキュ。大事にする。」
「失くすなよ。今、金相場が1gいくらだと思っているんだ。なくしたら腹を切れ。」
「いつサムライになったんだよ!」
笑う金色の大きな影が椅子ごとハイネルを覆い、額にまぶたに余すところなくキスを浴びせかける。
さてどのへんでボディブローをかましてやろうかと考えつつ、ハイネルは目を閉じ、しばらくの温かさに身を任せた。
-さて。次の10年はどうしてやろうかな。
「今さら・・お前はともかく、私が本社で付けていたら大騒ぎになるだろう。」
「いいじゃん、どうせあちこちばれてんだし。」
「だからと言って、知らない人間にまで言って回ることはない。」
どうせいつもの戯言と端末画面から眼も上げずさらりとかわす横で、ぶーたれた金髪頭がへなへなとソファに沈んでいく。
昼下がりのラボ。それはあまりにもいつも通りの風景だった。
「そういうこと言ってると、タトゥーとか入れちゃうよ?」
「文化圏によっては敬遠されるから、あまりおすすめはしない。」
「そんな冷静に返されてもなぁ・・・。」
それでもあきらめきれずに手元のタブレットをくるくると繰りながらグーデリアンは何かを探している。
「こんなんとかさ。」
差し出された画面は小さな金銀のチョーカー。厚みのあるデザインがグーデリアンの胸に輝いている様を想像しつつ、ハイネルは首を振った。
「・・私は金属アレルギーだと言っているだろうが。」
「だよねー・・。」
「グーデリアン、これをやろう。」
そんな戯れのことも忘れた一月くらい先。
ラボを訪れたグーデリアンに出されたのは赤いベルベットの小箱。
中には恭しく、2cmたらずの金色の模型が入っていた。
「これ、優勝記念のシュティール165のノベルティ模型じゃん。俺金銀両方持ってるよ・・って、あれ、重いね?」
「原子番号79。ちなみに、赤はガーネットだ。」
「あ、チャームになってる。」
「ストラップでもなんでも好きにするがいい。」
「うっわ、俺、革ヒモつけてロザリオにしよう。・・ん?」
裏を返したグーデリアンが首をかしげた。
「なぁ、これ間違ってるよ?」
「なんだ?」
「あのノベルティ、確か後にドライバーイニシャル入ってたよね。これ、金色なのにFHって入ってるよ?」
「あぁ。それでいいんだ。全く同じではつまらない。」
そう言ってハイネルが出したのは、青いベルベットの小箱。中には銀色のシュティールが入っていた。
「あ。」
「こちらはプラチナとトパーズだ。これなら私が持っていてもあまり不自然ではないからな。」
裏返したところには案の定JGのイニシャル。
-了解。後ろのイニシャルは二人のナイショってことなのね。
「サンキュ。大事にする。」
「失くすなよ。今、金相場が1gいくらだと思っているんだ。なくしたら腹を切れ。」
「いつサムライになったんだよ!」
笑う金色の大きな影が椅子ごとハイネルを覆い、額にまぶたに余すところなくキスを浴びせかける。
さてどのへんでボディブローをかましてやろうかと考えつつ、ハイネルは目を閉じ、しばらくの温かさに身を任せた。
-さて。次の10年はどうしてやろうかな。
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